連載当時のジャンプ読者や、後から一気読みしたファンの間でしばしば生じるのが、「支配者級(クエストクラス)=S級妖怪やA級妖怪のような最上位ランク」という混同です。ネット上の質問サイトや考察スレッドでも定期的に議論されるこの論点について、設定の文脈から事実を整理します。
結論から述べると、「支配者級」とは総合的な戦闘力ランクではなく、能力の系統や性質を示す呼称です。霊界が設けたS・A・B・C・Dというアルファベット順の妖怪格付けは「総合的な危険度・妖力量」を測るスケールですが、支配者級という言葉は「火薬や特定の物質・属性を自らの支配下に置き具現化できる特殊体質」を指しています。
仙水編でコエンマが明かした通り、人間界と魔界を隔てる「界境トンネル」の結界を通過できるのはB級以下の妖怪のみでした。戸愚呂弟がB級上位の頂点と明言されている以上、彼に力でねじ伏せられて従っていた鴉もまた、B級上位の枠組みに収まることになります。
ただし、B級上位だからといって過小評価はできません。目に見えない微細な爆弾を相手の呼吸器に吸い込ませたり、指先一つで肉体を爆砕する搦め手は、初見殺しの性能としてはS級クラスの妖怪に対しても一撃を与えうる凶悪さを秘めています。蔵馬が妖狐の姿を保っていれば完勝できた可能性が高いものの、弱体化した人間状態の蔵馬を肉体的にも精神的にも限界まで追い詰めた戦闘IQの高さは、作中屈指の完成度を誇っていました。