原典である日本古典文学『竹取物語』において、帝は求婚者たちの中で唯一、かぐや姫と和歌を詠み交わす風流で知性ある存在として描かれている。月に帰った後も彼女を思い続け、富士山の頂で薬を焼くというロマンチックな悲恋のヒーローという側面が強かった。
しかし高畑演出は、この古典的な帝像に現代的な人間観察の眼差しを注ぎ込んだ。支配欲と自己愛に満ちた男性像として再構築することで、抑圧されるかぐや姫の孤独と「生」への葛藤をより鮮明に浮き彫りにさせたのである。あごのデザインは、そうした原典解釈の刷新を象徴する重要な記号でもあった。