箱根駅伝の醍醐味の一つであり、勝負の行方を大きく決定づける要素が「レース当日の区間エントリー変更(メンバー変更)」です。大会ルールでは、往路・復路ともにレース開始前の午前6時50分に最終エントリーシートが提出され、最大6名(往路・復路合わせて)の選手を補員と入れ替えることが認められています。
各大学の指揮官がこの権利を行使する背景には、主に以下のような高度な戦術的理由が存在します。
- 主力隠し(当て馬戦術):事前にエース級の選手を補員に登録しておき、ライバル校のエントリー配置を見てから最適な重要区間(2区・3区・5区など)へ投入する。
- 直前コンディションの見極め:冬場の寒暖差や直前のインフルエンザ・故障リスクに対し、前夜から早朝練習までの状態を極限まで見定めてベストメンバーを確定させる。
- 心理的プレッシャーの付与:ライバル校に対して直前までオーダーを読ませないことで、相手チームのレースプランやペース配分を揺さぶる。
監督対談や過去の特番インタビューで名将たちが語ってきたように、この「エントリーシート提出までの数時間」こそが監督同士の真剣勝負であり、箱根駅伝における知略戦のハイライトと言えます。