地震のタイプによって、津波の到達時間と想定される波高のプロファイルは劇的に変化します。東京都防災会議が示す被害想定および最新のシミュレーションモデルを比較すると、時間的猶予とエネルギーの現れ方に明確な差異が浮き彫りになります。
元禄関東地震クラス(相模トラフ沿いのM8級)が発生した場合、東京湾口部への津波到達時間はわずか十数分から数十分、品川区や港区、江東区などの東京湾奥部へも30分〜1時間程度で押し寄せます。最大津波高は江東区や大田区の一部で標高T.P.+2.5m〜3.0m超と試算されており、満潮時と重なれば海面は護岸の基礎部分を軽々と呑み込む高さに達します。
一方で、南海トラフ巨大地震における津波は、遠地から時間をかけて浦賀水道を通過するため、東京湾奥への到達には約2時間30分〜3時間の猶予があります。波高そのものは最大1.5m〜2.5m程度と予測されるものの、長周期の波が長時間にわたり押し寄せるため、港湾施設の係留船が押し流されたり、防潮扉の外側で大規模な冠水を引き起こしたりするリスクが極めて高いのが特徴です。