減量のために意気込んでランニングを始めたものの、「1ヶ月毎日走ったのに体重計の針が動かない」「むしろ下半身が重くなり太った気がする」と悩む人が少なくありません。この現象の裏には、人体の防御反応とホルモンバランスの急激な変化が関係しています。
高強度のランニングを行うと、体内では血糖値を維持しようとしてストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌されます。コルチゾールが慢性的に高止まりすると、体はエネルギーの枯渇を危機と認識し、基礎代謝を落として体脂肪を溜め込もうとするモードにシフトします。さらに、運動後の糖質枯渇は胃から分泌される食欲増進ホルモングレリンの急上昇を引き起こし、無意識のうちに高カロリーな食事を欲する「代償性過食」を招いてしまいます。
フィットネストラッカーの普及によって判明したデータでも、激しいランニングを行った被験者は、その後の日常生活における非運動性熱産生(NEAT:座る時間が増えたり、家事の動作が緩慢になったりする無意識の活動低下)が20〜30%低下する傾向が確認されています。「激しく走ったから今日は休もう」という心理的免罪符と身体的疲労が合わさることで、24時間全体のトータル消費カロリーが相殺されてしまう構造こそが、走っても痩せない最大の原因です。