煮物を作っている際、鍋の中で大根同士がぶつかり合い、角からボロボロと崩れて煮汁が濁ってしまった経験はないだろうか。煮崩れの最大の原因は、切り口の「尖った角」にある。過熱によって軟化した細胞組織は、対流によって起こる衝突の衝撃に耐えきれず、角から破砕していく。
角を削り落とすことによって、鍋の中での摩擦が劇的に減る。その結果、大根は角を丸めた状態で美しく形を保ち、出汁が煮汁全体に行き渡るスペースを生み出す。さらに、表面積が滑らかに広がることで熱と味が均一に入りやすくなり、芯までじっくりと煮詰めることが可能になるのだ。まさに職人が長年の経験から導き出した「物理的な合理性」がここにある。