「トド松」という存在を語る上で欠かせないのが、計算し尽くされた「あざとさ」だ。甘え上手で世渡り上手、女子力の高さを前面に押し出しながら、裏では兄たちを冷酷に見下す「トッティ」としての顔。この極端な二面性を成立させた背景には、入野自由独自の緻密なアプローチが存在した。
一歩間違えれば単なる嫌味なキャラクターになりかねない危険性を、入野は絶妙なトーン調整で回避した。声のトーンをわずかに高く設定し、甘い吐息を含ませたセリフ回しを意識する一方で、ツッコミに回る瞬間には声帯を抑え込んだ鋭い低音へとシフトさせる。単なる可愛いキャラにとどまらない「毒」のフレーバーを微量に混ぜ込むことで、視聴者が快感を覚える立体的かつリアルな人物像を作り上げたのだ。