仏教の世界において、観音様の正式名称は「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)」または「観自在菩薩(かんじざいぼさつ)」と呼びます。「世の人々の苦しみの声を観(聴)いて自由自在に救済する」という意味が込められており、インドのサンスクリット語「アヴァローキテーシュヴァラ」を漢訳した言葉です。
仏像の世界は主に「如来」「菩薩」「明王」「天部」という4つの階層に分かれています。最高位である「如来(釈迦如来や阿弥陀如来など)」は、すでに完全な悟りを開き、装飾品を身につけず質素な衣一枚をまとった姿が基本です。
対する「菩薩(観音菩薩や文殊菩薩など)」は、如来と同等の境地に達していながら、苦しむ衆生を救うためにあえて現世にとどまる存在です。悟りを開く前の王子時代の釈迦がモデルとなっているため、王冠や首飾りなどの華やかな装飾品(瓔珞・ようらく)を身につけています。いわば、如来が「本部の最高指導者」であるのに対し、菩薩は「現場の最前線に駆けつけるレスキュー隊長」といえます。