福岡県宗像市を中心に鎮座する宗像大社は、単一の社殿を指す言葉ではありません。日本神話『古事記』『日本書紀』において、天照大神(あまてらすおおみかみ)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)の誓約(うけい)によって誕生した「宗像三女神」をそれぞれ異なる3つの宮でお祀りし、その総称を「宗像大社」と呼びます。
九州本土に位置する田島の辺津宮には三女の市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)、大島に位置する中津宮には次女の湍津姫神(たぎつひめのかみ)、そして約60km沖合に位置する孤島・沖ノ島の沖津宮には長女の田心姫神(たごりひめのかみ)が祀られています。三宮は玄界灘を一直線に貫く神聖な軸線上に配置されており、古代の東アジア交易路と国家鎮護の要として機能してきました。
中津宮の御祭神である湍津姫神の「湍(たぎつ)」は、激しく流れる水や波立ちを意味し、荒れ狂う玄界灘の潮流を鎮める水の女神としての神威を持ちます。航海安全や交通安全の神として古くから絶大な崇敬を集めるのみならず、現代では人生の荒波を乗り越える「人生開運の道標」として祈りを捧げる参拝客が後を絶ちません。