2000年代以降のもたいまさこを代表する作品群といえば、荻上直子監督が手がけた映画の数々です。フィンランドの街角を舞台にした『かもめ食堂』(2006年)でのマサコ役や、南の島を舞台にした『めがね』(2007年)のサクラさん役は、彼女にしか出せない強烈な存在感を放ちました。
『めがね』で見せた毎朝の「メルシー体操」やかき氷を振る舞う物静かな姿は、セリフの少なさゆえにかえって観る者の心に深い安らぎを刻み込みました。荻上ワールドにおけるもたいまさこは、単なる脇役ではなく、物語の世界観そのものを支える「空気の主」としての役割を果たしています。
その後も『トイレット』や『レンタネコ』など荻上作品の常連として観客を魅了し続け、彼女が画面に現れるだけで作品のトーンが落ち着き、上質な癒やしが生まれるという唯一無二のポジションを確立しました。