そもそも、館長さんときみちゃんの関係は客観的に見れば奇妙極まりない。言葉を発しない人形を本物の恋人として扱い、デートをし、語りかける。一歩間違えれば狂気とも取れるこの設定が、なぜこれほど愛されるのか。それは、館長さんのきみちゃんに対する敬意が本物だからだ。
彼は決してきみちゃんを「都合のいいおもちゃ」としては扱わない。常に彼女の意思を尊重するような仕草を見せ、彼女の「声」を心の耳で聞き取っている。この徹底したキャラクター描写が、不気味さを通り越して、ある種の崇高な純愛へと昇華させているのだ。人形に魂を見出すという、日本古来の精神にも通じる部分があるのかもしれない。