事態の激化を決定づけたのは、町民たちの手によって直接下された審判だった。地方自治・行政の現場において極めて異例とされる草津町リコール住民投票。有権者の圧倒的多数が新井氏の解職に賛成票を投じたという事実は、当初、中央メディアやSNS上で「女性を排除するムラ社会の暴挙」として激しいバッシングを受けた。
観光地としてのブランドイメージは失墜し、草津温泉への宿泊予約キャンセルや役場への抗議電話が殺到。「セカンドレイプの街」という過酷なレッテルが貼られ、草津町議会もまた混乱の極みに達した。議場では罵声が飛び交い、議会運営は完全に麻痺。住民たちの日常は、突如として外部から押し寄せたイデオロギー闘争の戦場と化した。
だが、現地で暮らす町民たちの肌感覚は全く異なっていた。議会関係者や地元住民は、長年培われてきた行政への信頼と、日頃の新井氏の議会活動における言動を冷静に観察していたのだ。外野からの激情的な批判と、現場の住民が抱く違和感の乖離。その断絶こそが、この騒動を修復不可能な泥沼へと引きずり込んだ最大の要因だった。