生涯を通じて2つの家庭を持った火野正平さんの人生において、避けて通れないのが権利関係や遺産相続の問題です。
日本の民法上、法的な配偶者(本妻)と事実婚の妻とでは相続権の扱いが明確に異なります。法律婚関係にある本妻には当然に相続権が発生しますが、どれほど長年連れ添ったとしても内縁・事実婚のパートナーには原則として法定相続権が認められません。
一方で、子供たちの権利は法的に保障されています。事実婚の妻との間に生まれた子供であっても、父親が認知していれば非嫡出子として本妻の子供と同等の相続権を有します(2013年の民法改正以降、嫡出子と非嫡出子の法定相続分は完全に同等)。
火野さんは自身の複雑な家庭環境を誰よりも自覚していたため、生前から周囲の専門家を交えて将来の生活保障や遺産分割についての環境整備を進めていたと見られています。遺された家族がお互いを尊重し合い、静かに故人を偲ぶ姿こそが、火野さんが生涯をかけて遺した最大の財産といえます。