「人を襲わない穏やかな動物である」からといって、野生のオオコウモリに無防備に近づいたり、直接手で触れたりすることは極めて危険です。物理的な攻撃性は低くても、保有する病原体の観点においてオオコウモリ 狂犬病感染リスクおよび人獣共通感染症(ズーノーシス)の重大な宿主となり得るからです。
国際保健機関(WHO)や各国の公衆衛生当局の調査によると、オオコウモリ科の動物は以下の危険なウイルスを自然宿主として保有していることが確認されています。
- リッサウイルス(狂犬病関連ウイルス):狂犬病ウイルスそのもの、あるいは類似のリッサウイルス群を保有している事例があり、発症した場合の致死率はほぼ100%に達します。
- ニパウイルス・ヘンドラウイルス(ヘニパウイルス属):オオコウモリの体液や尿、食べ残した果物を介して家畜や人間に感染し、重篤な脳炎や呼吸器不全を引き起こします。
- フィロウイルス属(マールブルグウイルス等):アフリカなどに生息する特定のエジプトルーセットオオコウモリなどは、出血熱を引き起こすウイルスの自然宿主として知られています。
オオコウモリ自身はこれらのウイルスに対して強力な免疫耐性を持っており、感染しても発症しないケースが多いのですが、人間や他の哺乳類に伝播した場合は致命的な症状をもたらします。怪我をして地面に落ちている個体を見かけても、素手で保護しようとしたり触れたりすることは絶対に避けなければなりません。