牛の日常行動を観察すると、肉食動物から身を守るために発達した草食動物ならではの習性が見えてきます。
その筆頭が「睡眠時間の短さ」です。牛が横になってまどろんでいる時間は1日数時間ありますが、脳が完全に休息する深い眠り(レム睡眠)は1日に約30分〜1時間程度にすぎません。いつ外敵に襲われても即座に立ち上がれるよう、小刻みに仮眠を取るサイクルが体に染み付いています。
また、牛のコミュニケーション手段である「鳴き声」にも明確な意味があります。普段の低く落ち着いた「モォ〜」は仲間への挨拶やリラックスした状態を示しますが、甲高く伸ばすような鳴き声は空腹や不安、群れからの孤立といった強いストレスのサインです。母牛が子牛を呼ぶときは、喉を鳴らすような低周波の優しい声を使い分けます。
本来の牛の自然寿命は約15年〜20年とされています。一方で、食肉用として育てられる牛は生後約28〜30ヶ月、乳牛は搾乳を終える生後5〜6年程度で出荷されることが多く、人間社会を支える家畜としての固有のサイクルを持っています。