放送現場で長年徹底されてきたのが、NHKの商品名言い換えルールです。放送法第83条第2項には、著作者名や事実の伝達に必要な限度において名称を述べることは禁止規定に触れないとする例外が定められているものの、制作現場の内規(国内番組基準)では極めて慎重な運用が行われてきました。
かつて現場のアナウンサーやディレクターが直面した代表的な言い換え事例には、以下のようなものがあります。
- 「バンドエイド」 ➡ 「絆創膏(ばんそうこう)」
- 「ウォークマン」 ➡ 「携帯型音楽プレーヤー」
- 「宅急便」 ➡ 「宅配便」
- 「テトラポッド」 ➡ 「消波ブロック」
- 「セロテープ」 ➡ 「セロハンテープ」
- 「Suica・PASMO」 ➡ 「交通系ICカード」
しかし、近年の運用基準では柔軟化も見られます。社会的に広く定着し、言い換えることでかえって視聴者の理解を妨げる場合や、ニュース報道において企業の不祥事や業績を客観的に伝える文脈では、正式な社名や商品名がそのまま報じられるケースが増加しました。形式的な言い換えにとらわれず、視聴者への正確な情報伝達と宣伝効果の排除というバランスが常に現場で図られています。