京都の朝食シーンは近年、老舗旅館の贅沢な朝粥から新進気鋭のベーカリーカフェまで多種多様な選択肢が広がっています。その群雄割拠のなかで、烏丸御池の路地にひっそりと佇む「旬菜いまり」が頭一つ抜けた存在感を放ち続ける理由は、朝食という枠組みを超えた「五感で味わう食体験」にあります。
暖簾をくぐると広がるのは、古き良き京町家の温もりを残した落ち着きある空間です。オープンキッチンのカウンター越しに聞こえる炭火の爆ぜる音や、出汁が穏やかに立ち上る湯気が訪れる者を包み込みます。看板メニューである「京の朝ごはん」の最大の主役は、なんといっても注文を受けてから一組ごとに炊き上げる土鍋ごはんです。
米は季節や気候に合わせて厳選され、職人が火加減を細かく調整しながら専用の土鍋で一気に炊き上げます。蓋を開けた瞬間に立ち上る甘い芳香と、ツヤやかに一粒一粒が自立した銀シャリの美しさは、思わず息を呑むほどの完成度を誇ります。底にできた香ばしい「おこげ」の食感も、土鍋炊きならではの醍醐味です。
この極上の白米を支えるのが、職人の手仕事が光る「おばんざい」の小鉢群です。京都の近郊農家から届く新鮮な京野菜を中心に、素材本来の滋味を引き出す伝統的な昆布と鰹の出汁で炊き上げた煮物や和え物が並びます。さらに、遠赤外線の炭火でじっくり香ばしく焼き上げられた旬の焼き魚、毎朝丁寧にとられる合わせ出汁の味噌汁が脇を固め、一口ごとに疲れた身体の芯がほどけていくような調和を生み出しています。