市立福山の野球部が使用できるのは、放課後のグラウンドのわずか半面だ。隣ではサッカー部や陸上部が汗を流す。外野ノックすら満足に打てない環境で、指揮官が導入したのは「時間あたりのアウトプット最大化」だった。
実ボールを使ったシートノックは週に2回のみ。その代わり、室内練習場でのテニスボールを使った反応速度トレーニングや、可動域を広げる自重筋トレを過密に組み込んだ。一見すると地味なメニューの反復。だが、選手たちの動きには一瞬の迷いもない。「場所がないからできない」という言い訳を捨て、限られたスペースで何ができるかを徹底的に突き詰めた結果が、高い守備率へと結びついた。