焼き台の前に立つ店主・焼き師の動きには、一切の無駄がない。右手に団扇を握り、左手で絶え間なく串の位置をミリ単位で組み替える。炭火焼きという調理法は、一見シンプルに見えて極めて過酷な物理現象の制御だ。炭の遠赤外線による芯への加熱と、表面を瞬時にキャラメリゼする強火のバランスを、指先の感覚ひとつでコントロールしていく。
表面はクリスピーで香ばしく、内側はシルクのようになめらかでレア感を残した絶妙な火入れ。脂が炭に落ちて立ち上る煙を香りのヴェールとして肉に纏わせる「燻煙」の技術も群を抜く。素材のポテンシャルを120パーセントまで引き出すこの火入れの技こそが、他店との決定的な一線を画す核となっている。