長瀬智也の役者としての才能が最初に大きく花開いたのは、1996年に放送されたドラマ『白線流し』(フジテレビ系)だろう。彼が演じた大河内渉は、定時制高校に通いながら天文台で働く、不器用で孤独な青年だった。長い前髪の隙間から覗く鋭くも切ない眼光。当時17歳前後だった長瀬が見せたあの独特の透明感は、多くの視聴者の胸を締め付けた。
バラエティ番組で見せる無邪気で陽気な一面とは対極にある、繊細で静かな情熱。セリフの行間から滲み出る切なさは、演技指導によって作られたものというより、彼自身が持つ天性の感性そのものだった。単なる「顔が良いアイドル」の枠を完全に踏み越え、ひとりの実力派若手俳優として世間にその名を刻んだ最初の決定打がここにあった。