情報が瞬時に拡散され、行列のできた店が次々とチェーン展開や商業化に舵を切る時代にあって、岡本とうふ店は頑固なまでにこの地にとどまり続けている。かつてこの山里で暮らす人々の日々の糧として始まった豆腐作りは、いくら知名度が上がろうとも、その根底にある営みを変えていない。
早朝の凍てつく水場に立ち、豆を選び、火加減を見極め、一枚ずつ丁寧に揚げていく。その愚直な反復こそが、100年の歳月を生き延びてきた唯一の理由だ。阿蘇の厳しい冬が去り、新緑の芽吹きを迎える頃も、紅葉が山を赤く染める季節も、変わらぬ煙が茅葺き風の屋根から立ち上る。流行を追わないからこそ、決して古びない。熊本の山懐で育まれる真っ白な豆腐は、めまぐるしく移り変わる現代社会において、私たちが失ってはならない確かな手触りを教えてくれる。 (出典: 岡本 とうふ 店(Yahoo!ニュース))
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