こうした個人の工夫の波及を受けて、インテリア・住まい業界全体のプロダクトデザインにも構造的な変化が起きている。かつて家具選びの基準は「デザイン」と「素材」だった。しかし現在は、「配線をどう逃がすか」という機能構造が購買決定を左右する重大なファクターとなっている。
壁面に配線孔があらかじめ穿たれた壁寄せテレビスタンドや、脚の内部にケーブルを通せるダイニングテーブル、配管スペースを考慮したシステム収納。インテリア・住まい業界は今、「見せない」ことを前提とした空間設計へと大きく舵を切っている。視界に入る情報量を削ぎ落とす「ノイズフリー」の思想は、住む人の精神的な落ち着きやリラックス感にも直結している。