現代の捜査において、かつてのような「紙の帳簿」を探す捜査は過去のものとなりつつある。今回の事件でも、証拠の大部分は暗号化されたチャットツールやクラウド上のストレージに保管されている。特捜部はデジタル・フォレンジック(電子鑑識)の専門チームをフル稼働させ、消去されたデータの復元に挑んでいる。
しかし、相手もITのプロフェッショナルだ。海外のサーバーを経由した通信や、匿名性の高い決済手段が用いられているケースも多く、資金移動の追跡は困難を極める。特捜部がこの「デジタルの壁」をいかに突破し、裁判で維持できる客観的証拠を積み上げられるかが、今後の公判維持の成否を分けることになる。