最も簡単かつ決定的な見分け方は、襟元から白地が覗いているかどうかだ。着物を着る際には、肌着の上から「長襦袢」と呼ばれる下着を重ねる。この衿の重なりが上品な立体感を生むのだ。一方、浴衣は本来、平安時代の湯帷子(ゆかたびら)をルーツとする肌着の一種であり、長襦袢を着用せずに素肌の上に直接羽織るのが基本である。
素材の違いも著しい。浴衣は通気性と速乾性に優れた綿や麻、あるいは吸湿発熱を抑える機能性ポリエステルが主流だ。対して着物は、絹(正絹)をはじめ、ウールや紬など多種多様な高価な生地が用いられる。涼しさを第一に仕立てられた夏物と、四季の趣を生地の質感を借りて表現する衣服。この素材の思想差こそが、両者を分かつ大きな壁となっている。