音楽マーケティングにおいて長年主流とされてきたのは、大型ドラマやメガCMのタイアップを獲得し、多額のプロモーション費を投じて大衆へ届けるトップダウン型の手法でした。これに対し、『Walking with you』のヒットプロセスは完全な「ボトムアップ型(草の根型)」です。
ネット上では「事務所の綿密な仕掛けによるステマではないか」という誤解が語られることがありますが、実態は全く異なります。当時のNovelbrightはメジャー契約前のインディーズバンドであり、予算も限られた中で、文字通り自分たちの足と車で全国を回り、路上で歌い続けるしか選択肢がありませんでした。
リスナーが自発的にスマートフォンで撮影し、「この素晴らしい歌声を誰かに教えたい」という純粋な感動から拡散された熱量こそがヒットの原動力でした。作為的なマーケティングではなく、路上という最も過酷な現場で鍛え上げられた生の熱量がデジタル空間と共鳴した点に、本作の歴史的意義があります。