かつて二人は、誰もが認める憧れのカップルだった。船越英一郎は『火曜サスペンス劇場』を筆頭とする2時間ドラマの主役として多忙を極め、茶の間の圧倒的な支持を獲得。一方の松居一代も人気ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』への出演や、独自のお掃除グッズの開発で実業家としての才能を開花させていた。多忙なすれ違いの中で育まれた二人の絆は、かつては芸能界における円満夫婦の象徴として称賛された。
しかし、スポットライトの当たる華やかな生活の裏側では、少しずつズレが生じていた。夫婦生活の主導権や価値観の違い、健康面への不安など、私生活の細部に宿る小さな綻びが、やがて修復不可能な溝へと拡大していく。周囲が理想と崇めた夫婦像は、内側から静かに崩壊へと向かっていたのだ。