長年、日本のエンターテインメント界において「老後」や「シニアライフ」は、介護や孤独といった悲観的な文脈で語られることが少なくなかった。しかし本作は、そうした暗い固定観念を根底から覆してみせた。老いることは衰退ではなく、経験を重ねた人間だけに許された最強の自由である――そう誇らしく宣言してみせたのだ。
これは近年の日本映画界における多様性の広がりの象徴でもある。若者中心の流行に依存するのではなく、成熟した大人の人生観を真正面から描き出し、エンターテインメントとして成立させる手法は、映画関係者からも高く評価されている。観客はスクリーンを通じて、年を重ねることへの恐怖ではなく、未来への希望とスカッとする開放感を受け取るのだ。