文学界にとどまらず、『火花』は映像展開においても異例のスケールを見せた。まずNetflixオリジナルドラマとして全10話が全世界配信され、その圧倒的なクオリティが大きな話題を呼んだ。続いてNHK総合でも地上波放送され、さらに映画化へと波及していく。
映像化の成功は、本作の持つ物語としての地力の強さを改めて証明することとなった。特筆すべきは、映画版の監督を務めた板尾創路氏をはじめとする、お笑いの現場を知り尽くしたクリエイターたちの存在だ。単なる「芸人が書いた話題作」であれば、これほど多層的なメディア展開に耐えうるはずもない。映像作品としても高い完成度を誇ったことが、過剰な話題性先行のイメージを払拭する力となった。