1941年に大阪の鍛冶屋の家系に生まれた河内國平氏は、最初から刀工を目指していたわけではありませんでした。関西大学法学部へ進学し、一般企業への就職も視野に入れていた青年期を経て、自らのアイデンティティと鉄への情熱に突き動かされるように刀の世界へ足を踏み入れます。
門を叩いたのは、のちに人間国宝となる大名工・宮入行平(昭平)師匠のもとでした。長野県坂城町の道場で過酷な修行生活を送り、鎚(つち)の使い方から炭の熾し方、鋼の選別に至るまで、徹底した基礎を身体に叩き込みます。さらに宮入師匠の没後は、同じく人間国宝の隅谷正峯氏の指導も仰ぎ、近代刀剣界の二大巨頭から技と精神を受け継ぐという稀有な研鑽を積みました。
独立後の波瀾万丈な歩みや刀への並々ならぬ執念は、著書『刀剣バカ一代』にもユーモアと赤裸々な筆致で記されており、その飾らない人柄と圧倒的な情熱が多くのファンを魅了し続けています。