近年、沖縄を訪れた観光客や地元住民の間で「昔に比べてデイゴの花をほとんど見かけなくなった」「咲いてもまばらで寂しい」という声が上がっていました。デイゴの花が咲かなくなった最大の原因は、2000年代初頭に突如として沖縄へ侵入した外来微小害虫デイゴヒメコバチの猛威です。
体長わずか1.5ミリほどのデイゴヒメコバチは、春先に新芽や若い枝の中に卵を産み付けます。幼虫が寄生すると植物組織が異常増殖して「虫えい(ゴール)」と呼ばれるコブ状の病変を形成し、葉や枝の伸長が阻害されます。その結果、花芽がつかなくなるだけでなく、光合成ができなくなった枝から次々と枯死し、沖縄本島や離島各地で樹齢100年を超える名木が相次いで倒木・枯死する深刻な事態に陥りました。
この危機に対し、沖縄県森林資源研究センターや大学、各自治体は本格的な被害対策を推進してきました。具体的には、樹幹注入剤(殺虫成分を幹に直接打ち込む薬剤治療)の定期散布や、原産地アフリカから輸入された天敵昆虫(カタオナガコバチ類)の放飼実験など、多角的なアプローチが長年続けられてきました。
こうした地道な防除の成果が実を結び、2026年現在の沖縄県内ではデイゴの樹勢回復が顕著に進んでいます。かつて丸坊主になっていた公園や街路樹のデイゴも再び力強く芽吹き、春の開花率も年を追うごとに改善しています。