大映の歴史を語る上で欠かせないのが、世界的な評価を確立した巨匠と、時代を牽引したトップスターたちの存在だ。溝口健二監督が手がけた名作群や、ヴェネツィア国際映画祭でグランプリを受賞し世界を驚嘆させた『羅生門』の世界的成功は、同社の圧倒的な企画力と映像美学を世界に証明してみせた。
銀幕を強烈に彩った二大スター、勝新太郎と市川雷蔵のコントラストもあまりに鮮やかだった。豪放磊落で破天荒な魅力を放つ勝新太郎と、繊細で理知的な気品を漂わせた市川雷蔵。撮影現場での凄まじい切磋琢磨。互いに対する強烈な意識が生んだ緊張感は、数々の名場面を結実させる最大の原動力となった。カメラが回っていない場所でも二人の火花散るオーラが現場を支配していたという。