「G線上」という言葉を一躍有名にした金字塔といえば、音楽の父ヨハン・セバスティアン・バッハが生み出した名曲だ。しかし、もともとバッハ自身が遺したのは『管弦楽組曲第3番ニ長調』の中の「アリア」と呼ばれる合奏曲だった。
19世紀後半、バイオリニストのアウグスト・ヴィルヘルミがこの曲をニ長調からハ長調へと移調し、バイオリンのG線1本だけで弾けるように大胆な編曲を施した。これが現代まで愛され続ける「G線上のアリア」の誕生の瞬間である。単なる原曲のアレンジにとどまらず、G線特有の深みのある重低音を生かすことで、原曲を超えるほどの哀愁と美しさを獲得したのだ。