格闘技ファンなら誰もが知る、あの歴史的瞬間がある。
1980年の全日本柔道選手権において、ある選手が歴代最高の柔道家と広く評される山下泰裕に対して蟹挟を実行した。山下の腓骨はその衝撃で折れた。国際柔道連盟(IJF)は即座にこの技術を禁止し、禁止技(kinshi waza)に分類した。
この事件が特に重大だったのは、怪我の内容だけではなく、被害を受けた選手の知名度の高さにあった。山下は際立って知名度の高い競技者であり、彼の怪我は蟹挟の危険性に対する前例のない注目を集めた。この事件が日本の柔道界で生み出した議論と論争が、技術の完全禁止に向けた動きを加速させた。
禁止前には、日本の高校や大学が大会前に競合他校の有力選手と練習させ、意図的に怪我を負わせるという事例が繰り返されていた。このパターンが当局に認識されたことも、禁止へと踏み切るきっかけとなった。