「気」と「病」の関係を医学の枠組みに載せた祖といえば、カナダの生理学者ハンス・セリエだ。彼が20世紀半ばに提唱した『ストレス学説』は、外部からの刺激に対して生体が起こす汎適応症候群を解き明かし、医学界に革命をもたらした。
セリエの研究は、精神的負担が副腎皮質を肥大化させ、胸腺やリンパ節を萎縮させる生体変化を裏付けた。ここから、精神と肉体の相関関係を治療に活かす心身医学という独立した学問分野が急速に発展することとなる。現代の医学者たちは、セリエが残した基盤の上に最新のゲノム解析を掛け合わせ、心の状態が遺伝子発現すら変化させる事実を突き止めている。