サブカルチャー界隈における「男の娘」文化の定着に伴い、コスプレや女装の完成度を高める目的で女性ホルモンに興味を持つ層が顕著に見られます。しかし、実際にホルモン投与を行った当事者たちの手記には、華やかな変身願望の先にある過酷な現実が赤裸々に綴られています。
LGBTs関連メディアや当事者コミュニティで広く知られる手記(IRISに掲載されたXジェンダー当事者・しょうへい氏の記録など)によると、18歳頃から自己責任で個人輸入を通じて女性ホルモンの投与を開始した経験が詳細に語られています。投与初期には男性的な特徴が薄れることに対する安心感を得たものの、20代を迎えるにつれて直面したのは、予測を超えた身体の変容と精神的な葛藤でした。
特に多くの手記で一致して語られるのが、「不可逆的な女性化乳房」と「将来への後悔」の狭間にある苦しみです。ある当事者は、ネット上の「中性的になれる」という言葉を鵜呑みにして投与を続けた結果、Bカップ相当まで胸が膨らみ、銭湯やプール、健康診断といった日常の男性的な空間から完全に排除されることになりました。ホルモン投与を中止しても、一度発達してしまった乳腺組織は薬では元に戻りません。元の平らな胸に戻すためには、数十万円から百万円前後の費用をかけて外科的に乳腺を切除する手術を受けるしか手段が残されていないのです。
さらに見過ごせないのが精神面への甚大な影響です。エストロゲンとプロゲステロンの血中濃度が乱高下することにより、重度のPMS(月経前症候群)に似た抑うつ状態、激しい焦躁感、理由のない涙といった情緒の崩壊を経験するケースが多発しています。「可愛くなりたい」という軽い好奇心から始めた結果、自律神経の失調や鬱病を発症し、社会復帰に長期の療養を要した例も少なくありません。