誕生当初のコカ・コーラは、清涼飲料水というよりも「頭痛や消化不良、神経衰弱に効く薬効シロップ」として1杯5セントで販売されていました。その初期原材料において最も象徴的だったのが、商品名の由来でもあるコカの葉(Coca leaf)とコーラの実(Kola nut)です。
当時の医学界ではコカインの有害性がまだ十分に認知されておらず、ペンバートン自身も鎮痛と覚醒効果を狙ってコカ葉のエキスを配合していました。しかし20世紀初頭、コカインの依存性や健康被害が社会問題化すると、コカ・コーラ社は処方を改良し、1903年以降はコカイン成分を完全に除去した「脱コカイン処理済みのコカ葉エキス」を使用するようになります。
さらに、ペンバートンが作り上げた門外不出の香料ブレンド「7X」と呼ばれるレシピの秘密は、厳重なセキュリティで保護され、現在もアトランタにある「ワールド・オブ・コカ・コーラ」の巨大な金庫の中で保管されています。時代の変遷とともに製法をアップデートしながらも、彼が調合した絶妙なスパイスとシトラスの黄金比率は、140年を経た今も世界中のファンを魅了し続けています。