今日でこそ私たちは「-100円の赤字」や「氷点下5度」といった表現を当たり前に受け入れている。しかし、歴史的に見れば「0」や「負の整数」の概念を人類が受け入れるまでには何千年もかかった。
古代ギリシャ数学において、数は「物の長さや個数」という具体的な量だった。そのため、「無」を意味する0や、「存在しない大きさ」であるマイナスの数は悪魔の概念として拒絶されたのだ。インドで0が発見され、アラビアを経由してヨーロッパに伝わり、帳簿付けや物理学の計算に不可欠な存在として認められたのは17世紀以降のことである。直感に反する概念を抽象化し、概念として手なずけてきた歴史こそが整数の本質と言える。