神殿最大のハイライトといえば、年に2回だけ起こる「太陽の奇跡」だ。毎年2月と10月の特定日に、朝日の第一光線が暗闇に包まれた神殿の奥深くまで一直線に差し込み、最奥の聖所に佇む神々の像を照らし出す。
興味深いことに、冥界の神アヌビスだけに光が当たらない設計がなされている。ファラオの戴冠や誕生日を祝うために作られたとされるこの仕掛けは、3000年以上前の人々が天体運動を完全に把握していた動かぬ証拠だ。1960年代の移築によって光の射し込む日にわずかなズレが生じたとされるが、その幻想的な美しさは今なお世界中の人々を魅了してやまない。