ユーザーの手元に届き始めてすぐに噴出したのが、ZOZOスーツの計測精度に関する評判の悪化でした。当初予定されていた伸縮センサー内蔵型のハイテクスーツは製造コストや歩留まりの壁にぶつかり、約300〜400個のマーカーをスマホカメラで360度撮影する「マーカー方式」へ急遽変更されました。この設計変更が、ユーザー体験における大きな落とし穴となったのです。
実際の計測では、スマートフォンをテーブルや台の上に特定のアングルで立てかけ、音声ガイダンスに従いながら時計回りに12回撮影する必要がありました。少しでも部屋の照明が暗かったり、スマホの傾きがズレたり、服のシワが寄っていたりするだけで計測エラーが頻発したのです。
さらに深刻だったのは、同じ人間が同日に測り直しても「胸囲が数センチ単位で異なる」といった計測値のブレでした。アパレルのオーダーメイドにおいて数センチの誤差は致命傷となります。期待値が極めて高かった分だけ、ユーザーの間には「面倒な割に正確に測れない」という落胆が急速に広がり、利用頻度は激減していきました。