かつて郵政省の簡易保険福祉施設として誕生した「ゆうぽうと世田谷レクセンター」は、2007年の郵政民営化以降、日本郵政株式会社が保有するスポーツ施設として運営されていました。2015年9月、品川区西五反田にあった本館「旧ゆうぽうと」が先行して閉館(現在は複合高層ビル「五反田JPビルディング」として再開発済み)した際、世田谷レクセンターは営業継続がアナウンスされ、地域からは安堵の声が上がっていました。しかし、その数年後に訪れた営業終了の経緯には、複数の構造的な要因が絡み合っています。
最大の要因は、昭和50年代に建設された建物の深刻な老朽化です。多摩川と野川に挟まれた湿潤な水辺環境も影響し、体育館やクラブハウス、屋内温水プールの躯体劣化や配管設備の更新時期が同時に到来していました。日本郵政が公表した固定資産の管理方針や当時の取材情報によると、現行の耐震基準や環境性能を満たす大規模改修には数十億円規模の投資が必要と試算されていました。
加えて、日本郵政グループ全体が進めていた中期経営計画における「非中核事業の整理・縮小」という経営判断が決定打となりました。民営化企業として資本効率(ROE)の向上が厳しく求められるなか、広大な都有地・社有地を低収益なレジャー施設として維持し続けることは困難と判断され、最終的に惜しまれつつ歴史に幕を下ろすことになりました。