家族内での発症傾向が観察されることは確かだ。自閉スペクトラム症 (ASDや注意欠如・多動症 (ADHDを持つ親から生まれた子供が、同様の特性を示す確率は一般人口と比較して高いとされる。しかし、現代の精神医学において主流となっているのは「ポリジェニック・リスク・スコア(多因子遺伝リスク)」モデルである。
人間には無数の遺伝子変異が存在し、それぞれがほんのわずかずつ脳の発達や神経ネットワークの形成に影響を及ぼしている。親から子へ引き継がれるのは「特定の疾患そのもの」ではなく、「神経系の発達における多様なバリエーションの組み合わせ」に過ぎない。したがって、親が非常にマイルドな特性しか持たない場合でも、子供でそれが顕在化することがあれば、逆に親が明らかな特性を有していても、子供にはほとんど現れないケースも多々存在する。