社会的な大激震の引き金となったのは、2016年2月15日にWebサービス「はてな匿名ダイアリー」へ投稿された、わずか数十行のテキストでした。タイトルの「保育園落ちた日本死ね」という過激なフレーズとともに、認可保育園の選考に落ちた母親の切迫した感情が赤裸々に綴られていました。
ブログの元ネタとなった文章では、「何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ」「子供産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに、何で保育園落ちるんだよ」と、政府のスローガンと現場の過酷な現実との激しいギャップが叩きつけられていました。この叫びはSNS上で瞬く間に拡散され、同じ境遇に置かれた親たちから圧倒的な共感と支持を集めました。
事態が政治の舞台へ飛び火したのは同年2月29日の衆議院予算委員会です。当時・民進党の山尾志桜里議員がこのブログを取り上げ、安倍晋三首相(当時)に直接詰め寄りました。当初、首相側から「匿名である以上、本当かどうか確かめようがない」という趣旨の答弁が出たことで世論の怒りは一気に爆発。「#保育園落ちたの私だ」というハッシュタグ運動や国会前での抗議デモへと発展し、政府は待機児童解消に向けた緊急対策の策定を余儀なくされたのです。
同年末には「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップテンに選出され、言葉の過激さに対する賛否両論の議論が巻き起こるなど、単なるネットの愚痴を超えた社会運動の象徴として歴史に刻まれました。