物語の序盤、最終選別へと向かう弟子たちへ育手・鱗滝左近次から手渡されたのが、白い狐の「厄除の面(やくよけのめん)」でした。文字通り「災厄から身を守り、無事に帰還してほしい」という鱗滝の切なる祈りを込めた呪術的な木彫りの面でしたが、そこには残酷すぎる悲劇の引き金が隠されていました。
藤襲山(ふじかさねやま)に47年間閉じ込められていた異形の「手鬼(ておに)」は、かつて自分を捕らえた鱗滝への凄まじい怨嗟を抱いていました。手鬼は鱗滝が彫った狐面特有の彫り筋を目印にして弟子たちを特定し、優先的に惨殺していたのです。鬼滅の刃 厄除の面の意味とは、本来は守護の願いでありながら、結果として手鬼に弟子たちを識別させる「呪いの目印」へと反転してしまった点にあります。
かつて選別で命を落とした錆兎と真菰のお面にも、それぞれの個性が反映されていました。錆兎の面には自身の口元と同じ「右頬の大きな傷跡」、真菰の面には「可愛らしい花模様」があしらわれています。そして炭治郎の面には、額の火傷痕と同じ位置に「赤い太陽のような印」が描かれていました。最終選別で炭治郎の手鬼撃破とともにお面が割れた演出は、長年囚われていた弟子たちの魂が解放され、鱗滝の悲願が成就した決定的な瞬間を象徴しています。