全国47都道府県で暴力団排除条例が整備され、警察と民間企業、金融機関の連携が進んだ結果、暴力団員の家族が受ける実害は想像を絶するレベルに達しています。法の建前上、排除の対象は「暴力団員」本人ですが、実務上は「密接関係者」として同居する妻や子どもにも厳しいペナルティが課されます。
最も深刻なのが、金融インフラからの完全な遮断です。暴力団員の夫が自分の名義で口座を作れないため、妻名義の口座で生活費や公共料金を決済しようとしたところ、銀行から「実質的な暴力団員への利益供与」と判断され、妻名義の口座まで強制解約・凍結される事案が各地で発生しています。さらに、夫が乗る自動車を妻の名義で購入したり、家族名義で賃貸マンションを契約したりした場合、暴力団関係者であることを隠していたとして、妻自身が詐欺罪の共犯として逮捕・起訴される判例が相次いでいます。
子どもへの影響も計り知れません。学校のPTA活動で父親の素性が知れ渡った途端、周囲の家族から露骨に距離を置かれ、いじめや不登校に追い込まれる事例は後を絶ちません。夫が長期刑で服役した場合、妻は多額の弁護士費用や差し入れ代を工面するために昼夜を問わず働き詰めになりますが、正社員としての就労は身元調査で阻まれます。結果として風俗業や無許可の深夜飲食店などに頼らざるを得ず、心身を壊して生活保護の申請に向かうものの、夫が籍に入っている限り受給要件を満たせないという制度のエアポケットに陥る悲劇が頻発しています。