彼女のキャリアを語る上で、和泉流宗家を支える妻としての役割を避けて通ることはできない。結婚当初から世間の激しい風当たりに晒されながらも、彼女は独自のスタンスで「狂言の家」を守り続けてきた。並大抵の覚悟では務まらない役回りだ。
しきたりや伝統の重圧に押し潰されることなく、自らのアイデンティティを保ち続けることは容易ではなかったはずだ。しかし、彼女はそれを「嫁の義務」として悲壮感漂わせるのではなく、持ち前の明るさとタフさで乗り越えてきた。その強さが、現在の舞台での圧倒的な存在感の土台になっていることは疑いようがない。生活者としての逞しさが、演技に血を通わせている。