カニを「杯」と数える背景には、古代から続く日本の食文化と漢字の成り立ちが深く関わっています。
「杯」という漢字は本来、「中身を注ぎ入れる器や盃(さかずき)」を意味します。イカやタコを「1杯」と数えるのも胴体が壺や袋のような空洞の器状になっているためですが、カニの場合も丸くくぼんだ甲羅が大きな器や盃を想起させる形状をしています。
さらに、古くから日本では甲羅をそのまま天然の器として使い、カニ味噌や身をほぐして甲羅の中で和えたり、甲羅酒を嗜んだりする文化が根付いていました。「甲羅という器に極上の身や味噌が盛り付けられている」という見立てから、食材としてのカニに「杯」の助数詞が定着したとされています。