安全な静脈アクセスを確立することは、医療政策の根幹にも関わるテーマだ。厚生労働省の医療事故防止対策や日本看護協会のガイドラインでは、神経損傷を防ぐための穿刺角度や深さ、しびれを訴えられた際の中止基準が厳格に定められている。無理な穿刺の繰り返しは医療事故に直結するため、2回失敗した場合は別の担当者に交代するプロトコルを導入する医療機関も増えた。
また、安定した血液製剤の確保を担う日本赤十字社にとっても、採血時のトラブル防止は極めて重要な課題である。献血者の腕に強い痛みや大きな皮下血腫を作らせないことは、継続的な献血協力を得るための必須条件だ。針を刺す技術の標準化研修や、痛みを最小限に抑える細径針の適切な選定など、組織を挙げたセーフティネットの構築が進められている。