奈良の空を読み解く上で絶対に外せないのが、東にそびえる生駒・金剛山地と、西を覆う若草山や春日山といった山々の存在だ。これらの地形が複雑に入り組むことで、目と鼻の先で全く異なる天候が現れる「マイクロクライメイト(微気候)」が発生する。
「奈良市内は晴れているのに、春日奥山に入った途端に激しい雨に見舞われた」という経験を持つ観光客は多い。山肌を駆け上がる湿った空気が急激に冷やされ、狭いエリアにピンポイントで雨雲を発生させるためだ。特に午後の時間帯、西日が山影に隠れるタイミングで風向きが一変し、一気に大気が不安定化する。大和路を歩く際には、広域の天気予報だけでなく、上空の雲の動きや山にかかる霧の様子を観察する直感が試される。