物語のクライマックスとなる最終決戦において、緑谷出久(デク)が下した決断は、死柄木弔をただ「悪として殲滅する」ことではありませんでした。世界を滅ぼそうとする凶悪犯としての死柄木を拒絶しながらも、その深層意識で泣き続けていた「志村転弧という少年を救け出す」道を選んだのです。
精神世界での激しい攻防の末、デクは歴代OFAの個性を手放しながら転弧のオリジンに踏み込み、その魂の孤独を真っ向から抱きとめました。肉体をAFOに侵食されながらも、転弧は自らの意志を取り戻し、精神世界においてAFOの支配を内側から破壊することに成功します。
迎えた結末、個性の代償と戦いの負荷によって崩壊していく肉体の中で、転弧はデクに向けて次のような言葉を遺しました。
「最後まで壊そうとしたぜ」
「がんばれよ、出久」
自分がヴィラン連合の仲間たち(トガヒミコ、荼毘、スピナー、Mr.コンプレス、トゥワイス)の希望であり続けたという誇りを捨てず、ヴィランとしての生き様を否定しないまま、最期にデクを一人の「ヒーロー」として認め、その名(出久)を呼んで消滅していきました。それは、かつて誰にも救われなかった少年が、最期の瞬間にようやく一人のヒーローによって魂を救済された瞬間でした。