電車結びの最大の強みは、手数の少なさと圧倒的なスピードにある。慣れれば現場で30秒もあれば完結する。しかし、PEライン特有の「滑りやすさ」を考慮せずに結ぶと、大物が掛かった瞬間にあっけなくすっぽ抜けてしまう。
この致命的な弱点を完全に克服する鍵は、両者の「巻き付け回数」の非対称設計と「ダブルライン化」にある。
通常の結び方ではリーダー側とPE側を同じ回数巻きがちだが、これは間違いだ。フロロカーボンやナイロンのリーダー側を4〜5回巻きにするのに対し、表面が滑らかなPEライン側は7〜8回、細番手なら8〜10回巻き込むのが鉄則である。さらに確実性を高めるプロの裏技として、PEラインの先端をあらかじめ二重(ダブルライン)にした状態でユニノットを組む手法がある。これだけで結束部の接地面積が倍増し、摩擦力が飛躍的に跳ね上がる。
締め込みのプロセスにも絶対的なルールが存在する。結び目を寄せる前に、必ず唾液や水で結束部を十分に湿らせること。乾燥したまま一気に引っ張ると摩擦熱でPEラインの強度が半減する。両端の本線と余り糸を均等に締め、最後に本線同士をゆっくりと引き寄せて2つのコブを密着させる。このひと手間で、強度低下を防ぎつつ100%の結束性能を引き出すことができる。